緑ナンバーは、トラックやバスなどの事業用自動車に取り付けられるナンバープレートのことを言います。
白ナンバーの自家用車とは異なり、緑ナンバーには様々なメリットがあり、運送業を営む方にとって重要な役割を果たします。
今回は緑ナンバーについて取得する方法やメリットについて解説します。
目次
1.緑ナンバーとは
「緑ナンバー」のほかに、「営業ナンバー」、「青ナンバー」と呼ばれることがあります。
正式名称は「一般貨物自動車運送事業」です。
背景が緑色、文字が白色のナンバープレートのことを指し、
他人や他社から運賃をいただいてモノや人を運ぶ仕事に使用する車にその許可が必要です。
そのため自社の商品を運ぶ際は、白ナンバーでいいのです。
2.緑ナンバーを取得するメリット
緑ナンバーを取得すると下記3つのようなメリットがございます。
お客様や第三者からの信用度UP
緑ナンバーを取得するには様々な要件をクリアし、一般貨物自動車運送事業者として国に許可されなければいけません。
また、第三者からも許可がおりた事業所として応対されるため、例えば金融機関から融資を受けやすくなることもあります。
業務の規模拡大
民間企業や公共事業が取引先事業者として委託先を選択する際に、許可をもっている事業者を指定することになりますので、取引先事業者として業務を委託される可能性が高まります。
従業員の福利厚生が手厚くなる
緑ナンバー取得には従業員の社会保険加入が義務付けられています。
また、従業員全員に対して1年に1回以上の健康診断を実施する必要があります。
そのため、従業員は就労環境の面でも安心してその事業所で働くことができるでしょう。
3. 緑ナンバーを取得するデメリット
緑ナンバーを取得すると事業所として管理をする必要性がでてきます。
それらは安全運転、生命を守るために重要な事項ばかりなのでデメリットとして捉えるかどうかは悩みますが、どのようなことを管理するのか詳細をみてみましょう。
①経費面
車検は当然必要ですが、車検以外に法定3か月車両点検の実施が必要です。
②事務業務面
運送業務の内容について記録、保管する義務があります。
(記録する内容)
- 毎日の日報、乗務前後の点呼記録簿、運行指示書、運転者台帳の作成など
③ドライバー管理
ドライバーの拘束時間が決められていますのでその時間内に収まるよう配置する必要があります。
まず1日の拘束時間は原則として13時間以内。最長16時間を最大限度に延長ができます。
1か月の最大拘束時間は293時間、休日労働は2週間に1回が限度など、他にも時間に関しての守らなければいけないことがあります。
輸送の安全が最大の目標のため、毎月計画的に運転者教育とその実施状況の記録もも必要です。
4.緑ナンバーを取得する方法
では、緑ナンバーを取得するにはどうしたらいいのでしょうか。
緑ナンバーを取得する場合、「一般貨物自動車運送事業許可=運送業許可」が必要です。
法人でも個人でも申請可能ですが、個人事業主が申請する場合以下の注意事項があります。
- 役員法令試験は個人事業主本人が受験すること
- 後に法人成りや事業承継を検討している場合、別途法人設立費用が発生し、許可の移行に別の手続き(譲渡譲受認可申請)で営業権譲渡をする必要がある
運輸支局に緑ナンバー取得の申請をしてから許可がおりるまで、審査期間は3~5か月かかります。
そのため事業開始予定時期から逆算して、半年~1年前から準備されることをお勧めします。
5.緑ナンバーを取得する費用は?
緑ナンバーを取得する費用は下記の表の通りです。
費用の内訳 | 費用 |
法人謄本 | 600円 |
幅員証明 | 0~300円 |
車検証書書換用印紙 | 0~500円/1台 |
ナンバープレート代 | 1,500~2,000円(印紙代350~500円)
希望ナンバーの場合、中板4,100円/大板4,900円 |
登録免許税 | 12万円 |
行政書士費用 |
※法令試験サポート込み |
合計13万円前後 + 行政書士報酬となります。
行政書士に依頼するメリット
- 最短で申請できるようスケジュールを組みます
- 許可がおりないリスクを把握しているので、車庫や営業所を探す時からサポート可能
- 大量の書類を準備するため、ご自身で準備等されると本業に支障がでる可能性がある
- 法令試験のサポートがある事務所有
6.緑ナンバーを取得できる条件ってなに?
緑ナンバー取得するための条件は大きな項目で下記8項目あります。
- 経営者の条件
- 運行管理者の選任
- 整備管理者の選任
- 運転者の雇い入れ
- 営業所・休憩睡眠施設の確保
- 車庫の確保
- 1営業所5台以上のトラックの確保
- 必要資金の証明
条件①経営者の条件
- 欠格要件に該当しないこと
- 常勤役員のうち1人は、法令試験に合格する必要あり
- 2回続けて不合格の場合、申請は取り下げられる
条件②運行管理者の選任
- 車両台数29台未満で1人、それ以降は30台ごとに1人ずつ運行管理者を立てること
(例)
車両台数1~29台:必要な運用管理者人数⇒最低1名
車両台数30~59台;必要な運航管理者人数:最低2名
- 運行管理者に選任できるのは、運行管理者資格者証を持っている人だけ
条件③整備管理者の選任
- 1営業所に最低1人の整備管理者を選任
条件④運転者の雇い入れ
- 常時選任運転者
- 必要な運転手の人数:トラックの台数=<運転手の人数
条件⑤営業所、休憩睡眠施設の確保
- 市街化調整区域、農地でないこと。用途地域も要確認(営業所)⇒お問い合わせください
- 営業所の広さ規定はない
- 駐車場から営業所まで直線距離で5~10㎞いないの場所にあること(近畿圏内)
- 睡眠を与える必要がある業務の場合は、仮眠場所について面積要件あり(休憩睡眠施設)
- 面積要件:一人当たり少なくとも2.5㎡以上の広さを確保
条件⑥車庫の確保
- 営業所からの距離は直線距離で5~10㎞(近畿圏内)の範囲
- トラックの前後左右に50㎝の余裕があること
- 道路管理者から幅員証明を取得した上で確認
- 農地(「田」「畑」)は農地転用が必要
条件⑦1営業所5台以上のトラックの確保
- 軽自動車・オートバイ以外の車両
- トラクタとトレーラーは2台(1セット)で1台としてカウント
- 所有形態はリースでも割賦でも可
条件⑧必要資金の証明
- 人件費・燃料油脂費・車輌修繕費:6ヶ月分
- 車両費:割賦の場合は「頭金」+12ヶ月分・リースの場合は毎月の支払額の12ヶ月分
- 営業所・車庫の家賃:賃貸の場合は賃料の12ヶ月分
- 自動車税・重量税・環境性能割(取得税)・自賠責保険・任意保険:1年分
- 登録免許税:12万円
それぞれの内容について細かい要件が他にもありますので、お問合せ下さい。
7.まとめ
緑ナンバーの取得方法や取得に必要なさまざまな条件について書いてきました。
恐らくここまで読まれた感想は「自分でできるかな」と不安になっていらっしゃる方が多いと思います。
緑ナンバー取得までの工程は図の通り、費用は約13万円(+行政書士報酬)、取得の条件は大きな項目で8つでした。
また申請後3~5か月事業開始まで要するため、申請までどれだけ短時間で書類収集・要件確認ができるかがカギになります。
車庫や営業所の契約をされる前にご相談していただくことをお勧めしています。
自動車での業務、特に一般貨物自動車運送事業の対象になるトラックは、交通事故や人身事故といつも隣り合わせの業務です。
大きな事故につながることも多く、「通行止め」など交通社会に大きな影響を及ぼします。
事業主も運転者も心身ともに健康な状態で勤務できるよう、また営業所や車庫の近隣の方々との円満な交流のもと業務を遂行できるようにたくさんの決まりごとが設定されており、どの条件も欠くことはできません。
今後、緑ナンバーの取得を検討されていらっしゃる事業主様は、時間に余裕をもってひとつずつ条件をクリアされ、無事緑ナンバーを取得されますように!