運送業許可が不要な場合とは?調べても不要かわからない場合はどうする?

物を運ぶ事業を行う場合は、基本的に運送業許可が必要です。もし許可なく運送業を行った場合は違法です。しかし、場合によっては運送業許可がなくても、運送業を行うことができます。

今回の記事では、運送業許可が不要になるケースについて紹介します。

特にこれから運送業を始めようと考えている方は、確認してみてください。

運送業は3種類に分かれている

運送業は「貨物自動車運送事業」のことを指し、以下の3つに分かれています。

  • 一般貨物自動車運送事業
  • 特定貨物自動車運送事業
  • 貨物軽自動車運送事業

運送業許可が必要なのは、一般貨物自動車運送事業と特定貨物自動車運送事業の2つです。貨物軽自動車運送事業に関しては運送業許可の必要はありませんが、届け出が必要となっています。

一般貨物自動車運送事業

一般貨物自動車運送事業が一般的に運送業と呼ばれていて、トラック運送業とも呼ばれています。他者から依頼を受けてトラックなどを使用して荷物を運び、その対価として運賃を受ける場合を指します。

そして、下記法律により一般貨物自動車運送事業を行う場合には運送業許可が必要であることが分かります。

第二章 貨物自動車運送事業

(一般貨物自動車運送事業の許可)

第三条 一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

引用:e-GOV法令検索「貨物自動車運送事業法」

特定貨物自動車運送事業

特定貨物自動車運送事業は、特定の荷主から依頼を受けて有償で運送を行う事業のことです。

一般貨物自動車運送事業との違いが、特定の荷主という点です。基本的に1社のみとの契約によって運送事業を行うのが、特定貨物自動車運送事業です。

メーカー・商社などの系列会社が配送や輸送を担当している場合に当てはまります。

特定貨物自動車運送事業も一般貨物自動車運送事業と同様に、運送業許可の必要性が明記されています。

(特定貨物自動車運送事業)

第三十五条 特定貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

引用:e-GOV法令検索「貨物自動車運送事業法」

貨物軽自動車運送事業

貨物軽自動車運送事業は「軽自動車」とある通り、軽自動車または二輪自動車を使って荷物を運び対価として運賃を受け取る事業のことです。

事業に必要な車両が1台でもよく、個人事業主として始めやすい事業であるといえます。

また上記2つの事業と異なり、運送業許可が必要ではなく、届け出のみで事業を行うことができます。

(貨物軽自動車運送事業)

第三十六条 貨物軽自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、営業所の名称及び位置、事業用自動車の概要その他の事項を国土交通大臣に届け出なければならない。当該届出をした者(以下「貨物軽自動車運送事業者」という。)が届出をした事項を変更しようとするときも、同様とする。

引用:e-GOV法令検索「貨物自動車運送事業法」

 

運送業許可が不要な場合とは

次に、運送業許可(一般貨物自動車運送事業許可)が不要な場合について具体的に説明していきます。

運賃が発生しない場合

無償の場合、運送業に該当しません。

例えば、出張クリーニングサービスとして洗濯物を自動車でお客さんに届ける場合、運賃が一切発生しない場合は運送業として扱われません。

しかし、注意が必要な場合もあります。

例えば、建築業者が請け負った先の建築資材を作業現場まで運送する場合です。

請求書には運賃の記載はないが、それ以外の経費に実質的に運賃が含まれている場合、税務調査等で指摘を受ける場合があります。

請求書に運賃と書かなければ、運送業許可が不要というわけではありません。

上記のような場合には、運送業許可の取得を検討するのがよいでしょう。

軽自動車または自動二輪車で運送する場合

前述の通り、軽自動車(軽トラック)やバイクで運送を行う場合は、一般貨物自動車運送事業ではなく、貨物軽自動車運送事業に該当します。

運送業許可は必要ありませんが、国土交通省に届け出が必要ですので、忘れないようにしましょう。

加えて排気量が125cc未満の自動二輪車の場合には、貨物軽自動車運送事業に当てはまらず、運送業許可はもちろん届け出も不要です。

自社の商品を運ぶ場合

自社の商品を運ぶ場合は「他者の依頼」ではないので、運送業には該当しません。

ただし、あくまで自社の荷物を自社の自動車で運ぶ場合に限ります。

例えば、グループ会社であっても他の会社に依頼をして運んでもらい、運賃が発生する場合は、自社の運送とは扱われず運送業に該当しますので、運送業許可が必要です。

運送業許可が必要か調べてもわからない場合

国土交通省ではノーアクションレター制度という、民間企業が事業を行う際に違法かどうか不明確な場合に問い合わせをすることができます。

ここでは、同じような悩みや不安を抱える事業者の方の問い合わせに対する回答が掲載されていますので、一度目を通してみることで参考になるでしょう。

国土交通省|法令適用事前確認手続照会及び回答事案

よく分からないまま運送業を行い、知らないうちに法律に違反していたということがないように、よく確認しておきましょう。

何か不安点があれば、運送業許可の専門家に相談するのも選択肢の一つです。

まとめ

運送業許可が不要な場合について解説してきました。

運送業は一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業の3つに分かれており、場合によっては許可や届出が必要なケースと不要なケースがあるので、注意して事業を行いましょう。

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